お世話になっております!新入社員の道守みちるです!
先日、半日かけて手作業で作っていた集計表を、試しにAIに手伝ってもらったら、数分で出てきました。うれしい。うれしいのですが、そのあと画面の前で5分ほど遠い目をしていました。これが…AIの洗礼か…。
そこで、新入社員が口にするにはやや危険な疑問が浮かびます。
AIがコードを書けるなら、システム開発を会社にお願いする意味って、まだあるんでしょうか?
自分の会社の商売に真正面から槍を投げる問いなので、正直こわい。でも、こわいから考えない、というのも違う気がする。というわけで、しばらく一人でうんうん唸ってみました。今回はその記録です。先に白状しておくと、きれいな結論には辿り着いていません。
この記事で扱うのは、だいたいこの3つです。📝
- そもそも「SI」って何をしている仕事なのか(非エンジニア向けに噛み砕きます)
- AIで何が変わりつつあって、何がまだ変わっていないのか
- 中小企業やフリーランスの立場で、明日から何を判断材料にすればいいか
そもそも「SI」って、何をしている仕事なの?🤔
まず言葉の整理から。
SI(システムインテグレーション)は、直訳すると「システムの統合」。日本語で言い直すと、会社の困りごとを聞いて、仕組みを設計して、作って、動かし続けるところまでまとめて引き受ける仕事です。それを生業にしている会社を SIer(エスアイヤー) と呼びます。
家づくりに例えると、大工さん(プログラムを書く人)だけではなく、設計事務所と工務店と、引き渡したあとのメンテナンス業者までをひとまとめにした存在、というイメージが近いです。
やっていることを並べると、ざっくりこんな感じです。
- 要件定義:何に困っているのかを聞き出して、「作るもの」を決める
- 設計:どういう仕組みにするかを図面に落とす
- 開発:実際にプログラムを書く
- テスト:ちゃんと動くか、変な使い方をしても壊れないかを確かめる
- データ移行:今使っている情報を、新しい仕組みに引っ越しさせる
- 運用・保守:動き続けるように見張って、止まったら直す
【Point】この6つのうち、「プログラムを書く」のは1つだけです。ここ、地味に大事なので覚えておいてください。
「AIで安くなる、速くなる」という話は、たしかにあります
実際、開発の現場でAIが使われる場面は着実に増えてきました。よく挙がるのは、このあたりです。
- プログラムの下書きをAIに書かせる
- テストのパターン(どんな使われ方を試すか)を洗い出させる
- 誰も中身を覚えていない古いプログラムを読み解いて、説明させる
- 仕様書や手順書のたたき台を作らせる
わたし自身、コードを一行も書かずに社内の作業を自動化した話を以前書きました(→ ノーコードでGoogle Workspaceをハックする。「Studio」の破壊力)。あのときの「所要時間、わずか3分」という体験は、今でも忘れられません。
なので、素直に思ってしまうわけです。じゃあ人、そんなに要らなくないですか?と。
それでも「人に頼む」がなくならなそうなのは、なぜ?
わたしなりに考えて、いまのところこう整理しています。規模の大きなシステムについては、セキュリティ面なども考えると、これまで築いてきた人的な資産を活用していくことの安心感が、依然として大きい。
つまり「作れるかどうか」ではなく「安心して任せられるかどうか」で選ばれている部分が、まだかなりあるということです。
では、その「安心感」の中身は何なのか。3つに分けてみました。
① 「どこまで見せていいか」を判断できる人がいる
大きな会社のシステムには、お客様の個人情報やお金の情報が入っています。AIに手伝ってもらうにしても、どの情報をどこまで渡していいのかは、最後は人が決めることになります。そしてこの判断は、その会社のルールと事情を知っている人にしかできません。
② 止まったときに、責任を持って駆けつける人がいる
システムはいつか止まります。止まった夜中に「誰が直すのか」がはっきりしていること。これは技術というより、契約と信頼の話です。今のところAIは、責任を引き受けてはくれません。
③ 「なぜこうなっているか」を覚えている人がいる
長く使われているシステムには、外から見ると意味不明な作りが残っていることがあります。でもたいてい、そこには理由があります。「昔こういう事故があったので、この確認手順を残している」といった経緯です。この手の記憶は、プログラムにも設計書にも書かれていないことが多い。人の頭の中にあります。
【最重要】ここまで挙げた3つは、どれも「作る」力ではなく、「持ち続ける」力です。
| タイミング | AIが得意になりつつあること | 今のところ人が抱えていること |
|---|---|---|
| 作る前 | 文章や図のたたき台づくり | そもそも何に困っているのかを引き出す |
| 作るとき | プログラムの下書き、テストの洗い出し | どこまでリスクを取るかの判断 |
| 作ったあと | 古いプログラムや記録の読み解き | 止まったときの責任、過去の経緯の記憶 |
じゃあ、ここから先はどうなるんでしょう?
ここまで書いて、「だから当面は安泰です!」と締められたら、さぞ気持ちがいいと思います。
でも、書けませんでした。
【結論】これからどうなるかは、正直わからない。
わたしが今つかんでいる材料は、この記事に書いた程度のことです。それで「5年後もこのままです」とも「数年で入れ替わります」とも言えません。言えたとしたら、たぶん見栄です。
ひとつだけ、方向として思っていることはあります。投入される人の数は、減っていく方向だろう、ということです。仕事そのものが消えるという話ではなく、同じものを作るのに必要な人数のほうが減っていく、というイメージです。これも予想でしかありませんが。
世の中で見かける「AI時代のSI」の話は、たいてい「SIerは終わる」か「人にしかできない仕事が残る」のどちらかに寄っています。どちらも歯切れがいい。ただ、歯切れのよさと、当たりやすさは別ものです。
安心感は依然として大きい。ただ、これからは正直わからない。人数は減る方向だとは思う。──今のわたしに言えるのは、この温度感までです。
歯切れが悪くてすみません。でも、わからないことをわかったふりで書くほうが、たぶん役に立ちません。
で、わたしたちは明日から何を見ればいいの?
とはいえ、この記事を読んでくださっている方の多くは、何百人がかりの大規模開発の当事者ではないと思います。フリーランスの方、社員が数人から数十人の会社の方が中心のはずです。
規模が違えば、事情も違います。ここから先は、正直わたしの仮置きです。
【結論】大きいシステムと小さいシステムで、話はかなり別。ただ、規模を問わず共通しそうなことが2つあります。
- 任せきりにしない。「よく分からないけどお願いします」で始めた仕組みは、たいてい後で困ります。相手が外部の会社でも、AIでも同じです。
- 中身が分かっている人を、自社に一人は持つ。全部作れる必要はありません。「うちのデータがどこに入っていて、誰が触れるのか」を説明できる人が一人いれば、判断ができます。
逆に言えば、AIのおかげで「まず小さく自分たちで作ってみる」ハードルは、確実に下がりました。小さく試して、手に負えない規模になったら相談する。この順番なら、頼むときにも「自分が何を頼んでいるのか」が分かります。
……と、それらしく書いてはみたものの、これはわたしが今の時点で考えたことです。1年後に読み返して赤面する可能性、けっこうあります。そのときはまた書きます。

